GO FOR KOGEI 2023
GO FOR KOGEIは富山、石川、福井の北陸3県を舞台に、工芸の魅力を今日的視点から発信するプラットホームとして2020年に始まった祭典です。2023年は、富山市の中心部から富山湾に続く富岩運河沿いの3エリアを会場に、工芸、現代アート、アール・ブリュットを跨ぐアーティスト26名が参加する展覧会や、工芸をキーワードに北陸を繋ぐ連携プログラムなどを開催しました。本展は秋元雄史総合監修・キュレーター と高山健太郎(artness代表)が共同キュレーターを務めました。
物質的想像力と物語の縁起
―マテリアル、データ、ファンタジー
展覧会タイトルの「物質的想像力」とは、フランスの科学哲学者、ガストン・バシュラール(1884-1962)の著書『水と夢: 物質的想像力試論』の中で物質(マテリアル)を詩学的な視点から論じる際に使われた用語です。人間の心理や文化における水の象徴的な意味を探求する哲学書である本著の中で、バシュラールは主観的認識から幻想性や独創性を取り上げ、多くの人々が深層で共有するイメージの問題として、物質をきっかけにする想像力について論じています。この「物質的想像力」という言葉をもとに、詩学としての芸術について、あるいは個の表現について考察していきます。
こういった視点が作品上で成り立つためには、作者の生の反映として作品を捉え、またその制作を個々の物語を紡ぐ行為として捉えていく必要があります。タイトルにある「縁起」とは、作者のそのような行為であり、それを突き動かす「何か」です。それはまったく個人的であると同時に世界的でもある、名状し難い「何ものか」なのです。
本展は、富山市の中心部から富山湾まで約5 kmに渡る富岩運河沿いにある3つのエリアを船で辿りながら鑑賞します。環水公園や美術館、閘門、伝統的な街並みなどで工芸、現代アート、アール・ブリュットを跨ぐアーティスト26名を紹介します。
水は多くの文化で生命、清浄さ、創造性、変容、無意識などの象徴として認識されています。「物質的想像力」と「水」という概念を頼りに作品を訪ね、内面と目前の外界と関わり、空想と現実の空間が象徴するさまざまな意味を感知する——この展覧会がそのための夢見る世界への扉となるでしょう。
アーティスト
板垣豊山、岩崎貴宏、上田バロン、O33、川井雄仁、川上建次、河部樹誠、オードリー・ガンビエ、金理有、久保寛子、桑田卓郎、コムロタカヒロ、近藤高弘、桜井旭、ささきなつみ、定村瑶子、長恵、辻村塊、野村由香、葉山有樹、平子雄一、古川流雄、増田セバスチャン、村山悟郎、横野明日香、渡邊義紘
開催概要
会期|2023年9月15日(金)–10月29日(日)
時間|10:00-16:30(入場16:00まで)
会場|富山県富山市 富岩運河沿い(環水公園エリア、中島閘門エリア、岩瀬エリア)
休場日|樂翠亭美術館(水曜)、富山県美術館(水曜、9月19日)、ほか会期中無休
主催|認定NPO法人趣都金澤、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
共催|富山県、富山市、(公財)富山県文化振興財団
協力|富山県美術館、富山交通株式会社、酒商 田尻本店、北陸銀行岩瀬支店、樂翠亭美術館、株式会社桝田酒造店
連携|市場街、KOGEI Art Fair Kanazawa、ガラスフェスタ、KUTANism、千年未来工藝祭、富山市ガラス美術館、ブールバールエリアマネジメント富山、RENEW
後援|JR西日本、富山経済同友会、富山商工会議所
委託|令和5年度日本博2.0事業(委託型)
運営体制
総合監修・キュレーター : 秋元雄史(東京藝術大学名誉教授)
プロデューサー : 浦淳(認定NPO法人趣都金澤)
共同キュレーター : 高山健太郎(artness)
会場設計 : 周防貴之(SUO)
アートコーディネーター : 金谷亜祐美(金沢アートグミ)
プロジェクトディレクター: 薄井寛(Noetica)
デザイン : 羽田純(ROLE)
広報 : 星野優花(Noetica)
事務局 : Noetica